"Sugar Coated" by Jeron Braxton, Bang Soyun



CALM & PUNK GALLERYでは、2024年11月、アメリカ出身のアニメーター・Jeron Braxtonと韓国出身のアーティスト・Bang Soyunによる展示「Sugar Coated」を開催しました。この展示では、デジタルとフィジカルの領域を行き来する二人のアーティストが、「Sugar Coating(砂糖コーティング)」をメタファーに、物事の表面に隠れた複雑な内面を探ります。砂糖の甘さが問題や不快な現実を覆うように、美や快楽の表層が社会の暴力や抑圧、しいては、デジタル世界における身体性という現代における重要なテーマを探ります。


Jeron Braxtonは、自身のビデオゲーム体験を基盤とした独自のアニメーションスタイルで知られるアーティストです。彼の作品は、ノスタルジックなビデオゲームの表現を通じて、ブラックカルチャーや社会的正義、精神的健康などの現代的なテーマを扱っています。BraxtonのアニメーションはVirgil AblohやThe Weekndをはじめとした商業コラボレーションでも注目されており、近年はラッパー・Kid Cudiと初の長編アニメ映画『SLIME』を制作しています。
本展ではPhermacyを舞台とした新作のゲームを通じて、消費主義に対する批評を行います。日本、またアメリカ社会で日常的に消費されている医薬品や、そして砂糖に着目し、それがいかに生活を支配しているのかを描写します。


Bang Soyunは、デジタルとフィジカルの世界がいかに曖昧な境界線の上に存在しているかを焦点にあて、作品を制作しています。3Dモデリングソフトを使用し、独立したナラティブを視覚化。それを絵画に変換する過程の上で、Bang自身の身体に及ぼす体験を考察します。本展では韓国で開催されたアートフェア・ART OnOにて発表された『Black Painting』の新作公開しました。
このシリーズは、Blenderプログラムのエラーによって偶然生まれた「黒さ」からインスピレーションを得た作品群です。エラーでキャラクターの肌が黒くなったことを機に、以前の作品より顔をあらわに描いています。また、デジタルと物理的なキャンバス上での表現の違いに向き合い、無意識に隠していた要素を探求し、エラーが生み出した偶然の美を新たな創作の転換点として捉えています。

 

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