FRP, Paint (2023)
Size: w450 × h800 × d60
成田 輝 / Hikaru Narita:
HP:https://www.hikarunarita.com/statement
Instagram:@naritateru
1989 青森生まれ。
2015 武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程美術専攻彫刻コース卒業。
成田輝は主に彫刻を扱い、絵画も制作する。現代美術作家であり、彫刻家であるが画家ではない。成田はアニメーションや玩具などがベースの視覚言語を用いており、愛らしいキャラクターたちがたくさん登場する彼の世界観は一見ポップでキャッチーだ。しかし、そのキャリアに於ける作品群の変化や、作品同士の関係性などを考察すると歪さや、不気味さ、死の匂い、そしてモチーフへの愛情が渾然一体となった交雑種であることが分かる。
木彫の作品は、3次元の造形や物体と空間の関係を模索する彫刻家としての彼の一面を最も色濃く映し出している。彼が彫刻作品のモチーフにしているキャラクターたちはアニメーションの世界の住人たちであり、そこにはもとから奥行きが存在しない。奥行きを持たない彼らを3次元の世界に召喚し、どう彫刻として表現するか考えた成田は「奥行きを潰す」というアイデアにたどり着いた。それは彼らが極端に薄い理由であり、奥行きの潰れた歪な世界で体を捻るとどうなるのか?そのときの正面は一体どこなのか?などの問いかけと共に彫刻の二次元化に挑戦している。
平面の存在を立体化する彫刻作品と、立体の玩具を平面の絵画作品にする。2次元と3次元の移行は逆方向なのだが、そこには確かに共通するアイデアがあると成田は言う。アニメーションの世界の住人たちは、動いている時だけ生を与えられており、動き続けるそれらは流動体と捉えることができる。生には死が待ち受けており、成田はそれを彫刻化することで物質世界に固定している。そして、後は朽ち果てていくだけの捨てられた玩具も噴射する塗料でキャンバスにそのイメージを固定する。それは対象に少しでもより強固な永遠性を与える行為である。想像の世界からやってきた形状のないイメージたちは、動き続けることで生命を獲得する流動体なのである。生きている限り、死とは決別することができない。例え、死は自然の摂理だとしても、ジレンマを持ちながらそれに抗い永遠に触れようとするのが成田作品のゾンビでありサイボーグなのだ。
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