Calm & Punk Galleryにて行われたrefract showに合わせ発行されたGASBOOK 25に続き、2タイトル連続での刊行となる東恩納裕一のGASBOOK 26「FL」は、蛍光灯を用いたシャンデリアシリーズの作品集となっています。
2012年には本作品集の刊行を記念し、CALM & PUNK GALLERY、NADiff Gallery の2ヶ所同時に蛍光灯シャンデリアを中心にドローイング、タブローなど、現在進行形の作品を空間インスタレーションとして展示しました。
『アーティストのコメント』
2011年に制作を開始したシリーズ作品:蛍光灯“シャンデリア”は、蛍光灯を偏愛する日本に対するアイロニカルな自己言及、という当初の意図からは離れ、ゴージャスな光のオブジェ(ライトアート)としての側面を強化する方向に移行しつつあったと思います。
それは同時に、テクノロジーに依存するアートの宿命として、社会環境の変化(3.11以降の電力不足)や新規のテクノロジーの出現(LED)によって、作品の見え方/受容に変化を蒙らざるを得ないことを意味します。
蛍光灯というある意味戦後の日本のメンタリティーを象徴し、今移行期にあるメディアを使用し何が表現できるのか、 作品集『FL』の刊行と、今回の2つの展示の機会を通じて、あらためて模索したいと思います。
- ひがしおんな ゆういち
■東恩納裕一(Yuichi Higashionna)プロフィール
アーティスト。東京生まれ、東京在住。
90年代はじめから日常に遍在する一連の“ファンシーなもの”をモチーフに、そこに潜む「不気味さ」を表現する。
代表作としてシャンデリアシリーズ、造花やレースをスプレーペイントで型取ったFL(Flower)シリーズ他。
これまで参加した主な展覧会に「六甲ミーツ・アート 芸術散歩2012」(六甲ガーデンテラスほか)、「アートがあればII ─ 9人のコレクターによる個人コレクションの場合」(東京オペラシティ アートギャラリー、2013)、六本木アートナイト2015など。
主なグループ展に、「THE MASKED PORTRAIT」マリアン・ボエスキーギャラリー/ニューヨーク、アメリカ(2008)、「六本木クロッシング2007 未来への脈動」森美術館/東京(2007)、「愉しき家」愛知県立美術館/愛知(2006)、「Officina Asia」ボローニャ近代美術館/ボローニャ、イタリア(2004)。他、コム デ ギャルソン、H.P.フランス、Hermsなど、店舗のアートワークも手がけている。
2008年には、世界最大のガラスに関わるアーティストのためのアワード「ボンベイ・サファイア プライズ2008」にて日本人初の受賞。
発売日 : 2012/1/1
ページ数 : 52ページ
ISBN 13 : 978-4990472603