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志鎌猛 「観照 Contemplations」


 志鎌 猛

1948年東京生まれ。

1990年、明野村浅尾(現北杜市明野町)の森の一隅に土地を求め、1992年からの10年間、余暇のほとんどを費やし夫婦自らの手で南アルプスと八ヶ岳を望む小さな家を建てる。その経験を通して、日本人としての遺伝子に潜んでいた自然への憧憬、畏怖の念が覚醒し、森の写真を撮りはじめる。


「じっと見る。そして一度だけシャッターをきる」という一貫してきた姿勢は、『観照 Contemplation』シリーズに昇華。オランダ、古代の石、スカイ島、イギリス、ガリシア、フランス、ドロミテ、京都、伊勢、湯川渓谷、香港、台湾、ドイツ、アイルランド、奈良、日本、熊野、雪、鹿児島などの連作となり、ライフワークとして継続している。


2022年、写真集『観照 Contemplations』がフランスにて、Éditions Photosynthèses Libella, Parisより出版される。

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じっと見る。そうしていると、ふとした瞬間、眼に見えている風景のその向こうから、私を呼ぶ声が聴こえてくることがある。

その声を合図にカメラを据え、私は一度だけシャッターをきる。

一期一会の写真。

それは私が撮ったのではない。眼に見えないなにかに撮らせてもらったものだが、私はそのフィルムを自分の領域・暗室に持ち帰り、

時が過ぎても色褪せない画像として定着させたいと尽くす。

絵を描くように一枚一枚に丁寧に、プラチナプリントの古典的手仕事の工程を辛抱強く重ねる。

そして、現像液を浴びせると瞬時に浮かび上がる画像に息を呑む。

そこにあのときが宿っていると信じたい。

 

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