藤倉麻子 個展 'Paradise for Free'

CALM & PUNK GALLERY では、3/19(金)〜4/4(日)にてアーティスト・藤倉麻子による個展「Paradise for Free」を開催いたします。
http://calmandpunk.com/exhibition/paradise-for-free/
これまで藤倉は、都市空間に存在するさまざまな工業製品や巨大な人工物を本来の記号から切り離し、対峙することで、3DCGアニメーションによる新たな景色のありかたを描きつづけてきました。それら工業地帯に囲まれた幼少期の原風景をもとに、藤倉独自のふさわしい都市の機能――極彩色、つるつるとしたテクスチャ、ひと気のない乾燥地帯、なだらかな動き、聴き覚えのある環境音など――を融合した景色。一見ディストピアのようにも見えるその景色は、ある特定の場所と視点から感じられる心地よい世界として映し出されてきました。
本展では、藤倉の第二の原風景である「楽園」が、制作活動初期から構想していた3DCGアニメーションを越え、実在の空間へとゆらゆらと形をあらわし始めます。
藤倉の「楽園」への好奇心は、大学時代に専攻していたペルシア語を通して知ったペルシア式庭園の存在からはじまり、最近では日本庭園まで広がります。藤倉の描く「楽園」に置かれる自然物を模したもの――水の流れに見立てた竹、日の出――、それらを装飾する窓や段差を通して人びとは、ゆらぐ空間のはざまへと引き込まれていくのです。
また、自然物を模したものにおいても、もとあった場所から移築されたかのように個々のさまざまなバックグラウンドや時間を漂わせながら、ある種サイト・スペシフィックな存在として新たな魂を宿します。
そのようなあらゆる存在や時間軸を持つものたちと藤倉は向き合い、まるで庭師のように新しい景色のありかへ、そしてわたしたちを飛躍の世界へと誘います。会場では、水路に見立てた無数の竹が空間に流れ、3DCG映像作品に呼応する立体作品、景色を映し出した平面作品などを発表いたします。